西園寺 祐介ブログ

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自社の経営分析方法、変動損益計算書の使い方とは?損益計算書との違いとは?

経営分析という言葉は専門的で

小難しい印象を抱く方もいると思いますが、

そんな事はありません。

 

はっきり言って

高校生の数学の方が遥かに難しい

ことをしています。

 

膨大な数字を一体どこからみたら良いのか、

どう分析したら良いのかわからないと

思いますが、

 

順番通りに見れば

そんなに難しいことではありません。

誰でも十分できます。

 

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教科書には色んな比率計算の式や、

そこからわかる意味を解説したものが

多いですが、実際財務諸表を手元に

置いてみて下さい。

 

私も経験あるのですが、

どこから手をつけて良いか

意外と手が止まってしまう

ものだと思います。

 

重要なのは色んな計算式を

覚えることではなく、

 

変動損益算書の最低限の項目に絞って

ステップを踏んで考察することです。

 

そもそも経営分析は一体何に役立つのか?

 

それは今のあなたの会社が、

あるいは取引先の企業が、

あるいは転職を検討している会社の事業が

 

どういう状態なのか、どこが経営課題なのか

自分で理解ができるようになります。

 

この記事では

異業種の2社で勤めてきた経験をベースに

実務の現場で社内の事業経営管理を

どうやっているのかを

ステップごとにお伝えしたいと思います。

 

 

社内と社外では分析できることが違う

社外の場合は情報ソースが限定的になるので

複数事業を持っている会社の1つ1つを

分析することは困難となります。

社外の場合は会社全体としての分析

なので、決算で報告されている財務諸表を使って、

会社全体として事業が上手くいっているか、

 

資本を上手に調達して効率よく運用出来ているか、

お金の使い道は適切か、残高は十分なのか

という点を中心に把握します。

 

社外の情報の分析は下記の

P/L、B/S、C/Fの読み方をこちらご参照下さい。 www.shimesaba-ba.com

 

www.shimesaba-ba.com 

www.shimesaba-ba.com

 

社内の場合は多角的な分析が可能 

一方、社内の場合は決算で対外的には出ていない

たくさんの情報があります。

複数事業をやっている会社ならまず

ビジネスセグメント別の詳細な損益計算書は

あるはずです。

 

もしあなたが製造メーカーなら

変動費や固定費の分類した情報はとても重要です。

一般的な損益計算書以上に経営分析ができます。

 

いくつ売らないと、あるいはいくら売らないと

自分の会社は黒字になるという

指標が大よそわかるからです。

その感覚があれば早めに手が打てます。

 

例えば、

あなたが社長で10万個売ると黒字になると

わかっていたとします。

半期が終わった時点で、

 

3万個しか売れていなかったとします。

この会社の年度決算はどうなるかわかるでしょうか?

 

季節性がなければ赤字になることが

この時点で予想できますよね。

そうしたら早めに売上を立て直す施策なり、

費用をコントロールする施策を実行できます。

 

一方もし1年間でいくつあるいはいくら売れば

黒字になるかわからかったとします。

同じように半期が終わって3万個しか売れてなくても

すぐにヤバイと思えないのです。

 

ヤバそうと思ってもあとどれくらい

売らないといけないという明確な

ターゲットがわからないのでは

施策も打ちにくくなってしまいます。

 

そうならないように変動費と固定費を見て

黒字になる売上ボーダーライン(損益分岐点)と

その変化を把握することが重要なのです。

 

 これは健康診断で言えば

血液検査にあたるくらい超重要です。

www.shimesaba-ba.com

 

社内の経営分析は情報が多いゆえに大変

社内の情報は社外以上に色々あるが

ゆえにどこから手をつけいいか困ることもあります。

 

レストランで100種類のメニューがあったら

選択肢があって迷うのと同じです。

 

今日は社内での経営管理を具体的に

どうやってやっているのかをご紹介します。

 

これからこういう仕事に就きたいと思う人、

こいつら数字をコネて何をしてんだと思う人、

会社を持っていて経営分析について初心者で

悩んでいる人にも参考になると思います。

 

社内の経営分析4つのステップ

ステップ0.変動損益計算書の仕組み

まず変動損益計算を使っていきます。

なんだそれは?と。 こちらがイメージ図です。

 

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変動損益計算書イメージ

 

限界利益というのは、売上高から

売上に連動する費用(仕入れ原価など)を

引いた事業のピュアな儲けのことです。

 

リンゴを700円で仕入れて1000円で売れたら

300円が限界利益です。固定費が200円なら

100円の営業損益です。

 

このように限界利益が固定費を

上回っている状態を

 

"固定費を回収できている"

 

と言います。

 

損益計算書との違いとは?

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変動損益計算書と損益計算書の違いは費用の分解の仕方

 

具体的な費用の分け方の違い

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損益分岐点とは?

変動損益計算書を使う大きな目的の1つとして

冒頭申し上げた通りあなたの会社が

いくらの売上がないと黒字にならないのかを

把握することです。

 

その黒字になる売上高を損益分岐点と言います。

固定費を補うために必要な売上高とも言えます。

 

複雑な計算式を見るよりイメージで

捉えれてみましょう。上記の例の数字を使います。

3ステップに分けて考えれば簡単な損益分岐点

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損益分岐点は3ステップで計算できる

1.固定費がいくらかを知る

固定費は売上がどうであろうが常にかかります、

例えばあなたの人件費です。

 

今回の例は300円です。

ではその300円をどうやって賄うのか?

 

売上を上げて利益300円出すことで

賄えますよね。

 

では利益300円を出すための売上は

いくらでしょうか?

 

2.利益率(限界利益率)を知る

 1000÷350=35%です。

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3.黒字になる売上高を求める(損益分岐点)

300÷35%=857円

 

この会社の損益分岐点は857円です。

つまり黒字になるためには

現状857円の売上が必要ということです。

ステップ1.縦に見る

ここまでで変動損益計算書を理解できたら

実際の分析をしていきます。

 

まずはざっと売上と営業利益を見て規模感と

儲かり具合を掴みます。

 

誰でもすぐわかります。

頭とお尻を見ればすぐわかります。

 

あなたの会社は飲食店をやっているとします。

今年は売上が150万円で15万円の利益でした。

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ステップ2.横に見る

では過去を見て今年(FY20)はどうなのかと見てみます。

すると、売上も利益も毎年伸びて好調なことがわかります。

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ステップ3.比率をみる

次に比率を見てみます。

すると違った見え方もできます。

 

売上が右肩上がりですが、

実はピュアな事業の利益率(限界利益率)

は下がり続けているのが問題点です。

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値引き販売をしているのか、

売れている商品構成のミックスが

変わった可能があるかもしれません。

 

それを社内の情報で調べていくことで本質的な

課題が見えてきます。

的確にその経営課題を発見するのが

経営企画や経理の仕事の付加価値になります。

ステップ4.セグメントで分けてみる

会社あるいは複数事業がごちゃ混ぜに

なった損益計算書を見ても

事業の性質が異なったりして

考察がしにくくなります。

 

だから、ビジネスセグメントに分けて分析します。

 飲食店なので食事とドリンクに分けてみました。

 

18年から全体の限界利益率が下がっているのは

なぜかわかるでしょうか?

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売上が増えれば良いとも言い切れない

増収傾向(売上が上昇)であることは良いが、

収益率の低下が問題。その原因は主に2つ。

 

1.ドリンクの限界利益率が下がっていること

63%から41%に低下

2.食事より利益率が高いドリンクの売上の比率が下がったこと

40%から37%に低下

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課題としては

いかにドリンクの利益率を上げるかあるいは

利益率が高い食事の売上の割合をもっと増やせないか

という点になります。

 

 

重要なことは

売上が増えて利益増えていても

必ずしも喜べないということです。

 

まとめ

社内と社外では手に入る情報が異なります。

社外は会社全体の経営状態を把握するため、

P/L、B/S、C/Fを分析します。

 

一方社内は情報が豊富なので

変動損益計算書を使って

あなたの事業を分析をします、

 

変動利益計算書のポイントは

限界利益率、固定費を把握し。

損益分岐点を求めることです。

つまり黒字化に必要な売上はいくらかを

頭に入れることが重要です。

 

その上で限界利益率や営業利益率などを加えて

時系列で比較します。

 

また、複数事業があれば

事業ごとに特性が異なるので

事業ごとに変動利益損益書を

分解する必要性あります。

 

そうすることで 

ただ単に眺めているだけではわからないことが

たくさんわかるようになります。

 

このように単純な四則演算だけでも

ステップを踏んでいけば一定の

経営分析が誰でもできるようになります。